幻の白人トランペッター、レッド・ロドニーを紹介します。
レッド・ロドニーはバップ初期に活躍した数少ない白人バッパーの一人です。同時代のミュージシャンと同様にビッグ・バンドで活動開始、ガレスピーやファッツ・ナヴァロ、ハワード・マギー等の演奏聴いてバップに目覚めるというコースをたどりました。49〜51年はチャーリー・パーカーのクインテットのメンバーとして活動しています。
ただ彼も麻薬の影響で度々活動の中断を余儀なくされ、絶頂期の50年代に数えるほどしかアルバムを残せませんでした。このことが彼の知名度が低い原因となっています。70年代にミューズから復帰アルバムをリリースして以降は1994年に亡くなるまで順調な活動を続けました。でも50年代の瑞々しく輝くようなソロは再び聴くことは出来なかったように思えます。
今回のアルバムはレッド・ロドニーの絶頂期50年代の2枚のアルバムを収録したものです。1枚はファンタジーの「MODERN MUSIC FROM CHICAGO」もう1枚は「BROADWAY」というプレスティッジのオムニバス・アルバムからレッド・ロドニーのものを収録してあります。前者は55年、後者は51年の吹き込みで正にロドニーの全盛期です。
両方とも典型的なバップ・コンボの編成でフロント2管+リズム・セクションというものです。特に後者の演奏はパーカー抜きのパーカー・クインテットと言っても過言ではないものです。
レッド・ロドニーの最初期はアイドルのディジー・ガレスピーの影響が色濃く反映されています。しかしパーカーのクインテットに加わる頃になると次第にウォームなトーンになりマイルス的なスタイルに変貌します。49〜51年当時にあってはトランペットを鳴らすという技術においてマイルスにはるかに勝っていたと思います。「ジャズにとってそれが何だ」と言われてしまえばそれまでですが、レッド・ロドニーのミュージシャンとしての資質の高さを物語るものだと思います。
このアルバムでも51年の7曲はまさにパーカー・クインテット在籍時代の吹き込みでレッド・ロドニーのウォームで雄弁なソロを聴くことができます。
このアルバムに収録されたもう一つの演奏、55年の12曲ですが、こちらも正にバップの典型的なスタイルの演奏です。しかしレッド・ロドニーのプレイから51年当時よりマイルス的な部分が減りよりウォームで輝かしいトーンになっています。
しかし最近の新譜を主に聴いている方には少々古めかしいサウンドに聞こえるかもしれません。実際僕も久しぶりに聴いたときちょっとオールドファッションだなと思いました。
だけど何回も聴いているうちに「新しいジャズ(モダン・ジャズ)」を開拓していたジャズメン達の熱気が感じられてきました。そして「何か輝かしい明日」みたいな雰囲気が感じられます。
トランペットが高らかに鳴り響く様は聴いていてやはり気持ちいいですね。ジャズって若い音楽だなって部分を再認識しました。
なお11「I LOVE THE RHYTHM IN A RIFF」のヴォーカルはレッド・ロドニー自身だそうです。ケニー・ドーハムより上手いですね。
余談ですが1952年にレッド・ロドニーが麻薬で逮捕されてパーカー・クインテットが解散後、パーカーは二度と恒久的なグループでの活動はありませんでした。それだけレッド・ロドニーの存在が大きかったのだと思います。
幻のトランペッター、レッド・ロドニーの最盛期の輝かしい演奏をお楽しみください。
p.s.
セカンド・セットのメンバー、リズム・セクションが全員「フィル」ですね。どうやって呼び合うのでしょうか?つまんない事ですみません。
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