アート・ペッパーの名盤がフレッシュ・サウンドより復刻されました。
アート・ペッパーの最盛期といえばやはり50年代中期の作品だと思います。その昔スイング・ジャーナルなどでペッパーの最盛期はいつかという論争がありました。61年に引退するまでの前期派と75年に再起作を吹き込んで以降の後期派の二つにわかれて激しい論戦が戦われました。
前期派はアート・ペッパーの甘くとろけるようなメロディを全面に、後期派はコルトレーンの影響を受けたすさまじいアドリブを全面に押し出しました。
僕は前期派です。やはりアート・ペッパーの最大の魅力はくめどもつきないメロディメイカーとしての資質だと思います。特に55年から58年頃のプレイは円熟味がましてこれでもかと思うほど甘美なメロディが溢れてきます。
後期のプレイはコルトレーンの影響を受け、激しい男性的なスタイルに変貌していました。特にヴィレッジ・ヴァンガードでのライブの壮絶なプレイは語りぐさになっています。僕も評価しないわけではありませんが、メロディストとしてのペッパーにより魅力を感じています。
さて今回のアルバムですが、74年に初めて復刻されるまで超幻のアルバムでした。というのもオープン・リールのみでの販売でほとんど出回らなかったためです。
74年に当時の西ドイツのメーカーが「THE ART OF PEPPER」というタイトルで発売され話題になりました。日本でも即発売され僕もそのアルバムを買い求めました。同時に第2集もだされペッパーの最盛期の名盤としてベストセラーになりました。
今回のフレッシュ・サウンドの復刻はこの時の11曲にあとから見つかった「WEBB CITY」「BEGIN THE BEGUIN」の2曲と今回初めて収録された「BLUES ROCK」「ROCK BLUES」の2曲を収めたコンプリート盤ということです。ただ残念なのは「FACINATING RHYTHM」の別テイクが収録されていないことです。これが収録されればほんとのコンプリートです。
このアルバムがペッパーの全アルバムの中でもトップをあらそうセールスを記録したのは、ひとえに選曲の良さにあると思います。
曲目をみてください。「HOLIDAY FLIGHT」「SURF RIDE」といったペッパーおなじみの曲とともに、ラテンフレーバリー溢れる曲が並んでいます。ペッパーにラテンは最高です。タンパ盤の「ベサメ・ムーチョ」でも有名なとおり、甘いメロディと気品漂うソロが素晴らしいです。下手なプレーヤーがラテンをやると下卑た演奏になってしまいます、いささか大げさですがペッパーのラテンは高貴ささえ感じます。
そしてこのアルバムの成功の要因としてピアノのカール・パーキンスの参加を忘れてはいけません。彼は左手が不自由なため独特なタッチのサウンドですが、それにもまして彼も天性のメロディストです。58年に自動車事故で夭折したために地味な存在でしたが、ウエストの得難いピアニストして活躍しました。哀愁のあるソロ、イカしたバッキングなどもっと評価されてよいピアニストの一人ですね。
今回あらためて聴き直したわけですが、こんなにベースが太く録音されているとは思いませんでした。以前の僕の装置ではこういった低音が再生できてなかったのですね。バスドラの響きも新鮮でした。
なおテープの保存のためか時々ビリつきます。ご了承ください。
アート・ペッパーの魅惑のメロディがぎゅっと詰まったアルバムです。マニアから初心者の方まで楽しめるアルバムです。特に初心者の方におすすめです。きっと「ジャズって楽しいな」と思っていただけるアルバムです。
どころから食べてもおいしいあんこがぎゅっとつまった鯛焼き盤をお楽しみください。
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