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ビル・エヴァンスとスタン・ゲッツの未発表セッション発見のニュースがセンセーションを巻き起こしていたのは今から28年ほど前のことだった。この1964年のセッションを収録したレコードを僕も輸入盤で買い、ワクワクしながら針を落としたのを今でも覚えている。
実はいまでこそ言えるがこのレコード僕はあまりピンとこなかった。なんか二人の協調性がみられず、お互いがバラバラに演奏しているようにきこえた。録音も悪かったこともあるだろうが。
このアルバムはそれから10年後ヨーロパ・ツアーのライブ音源でこれも何故か未発表のまま20年以上リリースされなかった代物である。
このCDを初めて聴いたのは4・5年前たまたま東京出張の空き時間に吉祥寺のA&Fに立ち寄ったときだ。僕がコーヒーを飲み始めたときこれがかかった。思わずそのCDを手にとって眺め、すぐに吉祥寺ディスク・ユニオンで買い求め松本に帰ってきたのを覚えている。
以前のセッションとこれの違いは二人の協調性の違いだ。このセッションでも最初のギグの時スタン・ゲッツがリハーサルにはない曲をいきなりはじめてしまってビル・エアヴァンスが怒って伴奏しなかった。その模様は2に収録されている。途中からエヴァンスがまったくピアノを弾いていない。
推理するとビル・エヴァンス・トリオのゲストということでトリオの演奏40分のあとステージに上がったことでゲッツがどうもへそを曲げたのではないかと思えるのである。それでもゲッツのソロはさすがゲッツ、ピアノがなくてもメロディックなソロである。
そして3曲目以降の16日のセッションになるわけだが、ここでゲッツがエヴァンスに謝ったようで、7曲目の後でゲッツが「Happy Birthday Bill」というところは感動的だ。
16日のセッションを聴くと二人の間のわだかまりも解けはじめインタープレイを展開しはじめている。特に3〜5の3曲がこのアルバムのハイライトだ。
スタン・ゲッツがストレートにメロディを吹く「But Beautiful」が新鮮、そして「Emily」の繊細でロマンティックな二人の演奏が素晴らしい。「Lover Man」で最高潮に達する。
ゲッツのソロは時にハード、時に優しく天性のメロディストとしての面 目躍如たるプレイだ。エヴァンスは相変わらず曲の真髄をえぐり出すようなそれでいてクールネスなソロだ。
このセッションが何故未発表のまま20年もリリースされなかったのかその理由は解らないが、この後二人は二度と共演していないのである。多分その辺に理由はあるだろう。
ともかく現在我々はこの二人が残したライブを聴くことが出来る。幸せなことだと思う。天国で二人が共演しているかは定かではないが。
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