幻の技巧派黒人歌手マーク・マーフィの粋な代表作!!
僕は基本的に男性ヴォーカルはあまり聴かないのですが、フランク・シナトラ、サッチモは別格として、メル・トーメ、ジョニー・ハートマンそして今回の主役マーク・マーフィはたまに聴きます。
マーク・マーフィのレコードを初めて聴いたのはMPS盤「MIDNIGHT MOOD」でした。クラーク=ボーラン楽団がバックをつとめて実にモダンなアルバムでした。はっきり言って黒人とは思えない声と歌い方でした。どちらかというとマット・デニスやメル・トーメ系列の都会的なシンガーです。ビッグ・バンドをバックに華麗に歌うシンガーではなく、コンボをバックにクラブで歌ういわゆる「四畳半的」歌手です。はっきり言って白人的センスの歌手です。
マーク・マーフィは50年代デッカ・キャピトルで4枚のアルバムをリリースしましたがさしたる反響もありませんでした。リバーサイドに移籍2枚のアルバムを発表、これがダウンビートで高得点を与えられジャズファンに認められるようになりました。「RAH!」「THAT'S HOW I LOVE THE BLUES」の2枚です。前者が今回紹介するアルバムです。両方ともオールスターメンバーによるバックで録音されています。
さて今回のアルバムです。
マーク・マーフィのアルバムに特徴的なものとしてジャズメンのオリジナルを取り上げることです。このアルバムでも7、9、10、11などが歌われています。またコルトレーンで有名な8も取り上げられています。
ただマーク・マーフィはランバート、ヘンドリクス&ロスと違ってヴォーカリーズではありません。比較的ストレートに歌ったあと時にはスキャットを交えながら段々にフェイクしていきます。このくずし方が粋ですね。ここのところが他の黒人歌手と違って実に白人的で都会的です。またデビューがピアニストであっただけにプレヤー的な部分を感じさせてくれます。
スタートは彼と良く比較されるマット・デニスの「ANGEL EYES」マット・デニスよりドラマチックな歌い方です。ブルーな雰囲気が良く出ています。
有名な2ですが、バースのあテーマを歌い出し「STAY〜」とのばして「GREEN DOLPHIN STREET」といくところがカッコイイですね。アレンジもかっこよくそこに合わせて入ってくるトロンボーンのソロもいかしてます。
「STOPPIN' THE CLOCK」は彼の敬愛するペギー・リーみたいな投げ節です。トランペットのソロはクラーク・テリーでしょう。
「SPRING CAN ̄」「NO TEARS FOR ME」難しいアレンジで歌っています。語り口が面白いです。ピアノはビル・エヴァンスでしょうか?僕は「NO TEARS」の方が好きです。
「OUT OF THIS WORLD」ラテン・リズム乗って渋く歌っています。ドラム・ブレイクのあと劇的に歌い上げています。
「MILESTONES」言わずとしれたマイルスのオリジナル。スキャットを交えてジャージーに歌っています。
「MY FAVORITE THINGS」この有名な曲マーク・マーフィはストレートに歌い終わります。
「DOODLIN'」ホレス・シルヴァーのヒット・チューン。笑い声を交えてかなりリラックスしたものになっています。エンディングのシャウトはちょっと、粋にすっと終わって欲しかったです。
「LI'L DARLIN」カウント・ベイシーの十八番、詞はジョン・ヘンドリクスです。実は僕の大好きな曲の一つで、この曲が聴きたくてこのアルバム買ったのでした。アレンジのアニー・ウイルキンスはベイシー楽団のアレンジをしていたのでモダン・ベイシーの雰囲気たっぷりの演奏です。ピアノのベイシースタイルが嬉しいです。
最後は「TWISTED」ワーデル・グレイの演奏で有名です。バップ・テナーの第一人者です。この曲はたしかランバート、ヘンドリクス&ロスも取り上げていたような。聴き比べると面白いと思います。
なおアレンジはアーニー・ウイルキンスです。リード楽器が全然入って居ないのですが、かえって面白い効果を上げています。バックはオールスターメンバーですが、歌伴に徹してほとんどソロはありません。ちょっと残念ですね。最後にタイトルの「RAH」ですが「フレー」とか「そ〜れ」などの掛け声だそうです。
幻の歌手と言われたマーク・マーフィの歌、ぜひ聴いてください。
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