レム・ウィンチェスター、プレスティッジ第1作です。
前回紹介した「ANOTHER OPUS」がミルト・ジャクソンへの挑戦状なら、今回のアルバムはレム・ウィンチェスターの挨拶状ですね。
レム・ウィンチェスターは長いこと警察官と二足のわらじを履いていました。1960年本格的にプロ活動を始めますが、翌年クラブ出演中ルシアンルーレットで暴発して亡くなりました。そのため残されたアルバムは数が少ないのですが、今となってはすべてのアルバムが貴重です。
今回のアルバムは前年にニューポートジャズフェスティバルで好評を博したレム・ウィンチェスターがプレスティッジと専属契約を結んで録音した第1作です。タイトルも「WINCHESTER SPECIAL」気合いバリバリのアルバムです。
ボブ・ワインストックも相手方にベニー・ゴルソンを起用、リズム隊も腕達者を揃えました。これから本格的にプロ活動を始めるレム・ウィンチェスターを応援したのでしょう。期待に応えてレム・ウィンチェスターも素晴らしいプレイを聴かせてくれます。
実は白状しますと僕はあまりベニー・ゴルソンのテナー好きではありません。ただベニー・ゴルソンという人、はまると素晴らしいプレーヤーです。好例がサヴォイの「BLUES-ETTE」やメッセンジャーズのパリのセッションなどです。彼のもやっとしたサウンドがカーティス・フラーのウォームなサウンドとベストマッチですね。あばれないベニー・ゴルソンは好きです。このアルバムはあばれないベニー・ゴルソンです。
レム・ウィンチェスターはミルト・ジャクソンの正統な後継者と目されただけに、ミルト・ジャクソンの影響を受けたソロワークです。しかしそれだけでない彼の個性も表現しています。
レム・ウィンチェスターの特徴として一つ一つの音がはっきりしていることです。木琴的なたたき方をします。ミルト・ジャクソンはバイブレーションを効果的に使います。とくのバラードプレイで顕著です。しかしレム・ウィンチェスターはあまりバイブレーションは使わず音も固い所があります。音数もミルトより多いです。たたみかけてくるソロは気持ち良いです。傾向は違いますがレッド・ノーボに影響を受けたのではないでしょうか。特に4でのレム・ウィンチェスターの急速はプレイは圧巻です。
今回もう一つの目玉はやはり、トミー・フラナガンの参加でしょう。ほんとに彼がバックにいると演奏がぐっとしまりますね。短いソロもびっしと決めるし、得難いプレーヤーです。またドラムアーサー・テイラーも地味ですが堅実なサポートでこのアルバムを盛り上げています。
のっけの1曲目、出だしですね。ベニー・ゴルソンのハスキーなサウンドがアーシーな雰囲気を醸し出しています。これからウィンチェスター・スペシャル号によるツアーの始まり、始まりみたいな感じがします。10分という長い演奏ですが、構成もしっかりしていて飽きさせないトラックです。こういう雰囲気に弱いKOBAです。
3のスタンダードはアップテンポです。ベニー・ゴルソンが暴れるかなあと不安でしたが、もうちょっとというところで踏みとどまってくれました。
4はレム・ウィンチェスターのこれでもかというぐらいのたたき込むソロが快感です。
ラストのオリジナルもかっこいいですね。うなり声をもうちょっと録音しても良かったんじゃないかと思います。
若くして亡くなってしましたレム・ウィンチェスターの数少ないリーダーアルバム、それも気合いの入った実質上のファースト・リーダーアルバムを堪能してください。
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