幻のトランペッター、ドン・スリート唯一のリーダーアルバムです!
ドン・スリートのプレイの特徴はマイルスとケニー・ドーハムの影響が色濃く現れている点だろう。バラードではブルー・ミッチェル的な部分もある。
ただ彼のプレイはドーハムやマイルスのコピーではなく独自のスタイルを出しつつあった。その点でもこのアルバム以後のプレイが聴かれないのが実に残念だ。
さてこのアルバムだが、実を言うと僕はこのアルバムを買った動機はサイドメンにあった。もしここにジミー・ヒース以下サイドメンが参加していなかったら僕はたぶんこのアルバムを買わなかっただろう。
たしかに彼らの参加によってドン・スリートが実力以上のプレイを見せているのも事実だ。しかしこのアルバムから逆に僕はドン・スリートの軌跡をたどってレニー・マクブラウンの2枚のアルバムも聴いてみた。
たった3枚のアルバムを残して消えてしまったドン・スリートだがそれだけにファンの記憶に残るアーティストかもしれない。
1はテナー奏者クリフ・ジョーダンのオリジナル。急速調のナンバー。スリートのソロはドーハム的だ。ジミー・ヒースのテナーソロは太い音で豪快。ウイントン・ケリーもコロコロ転がるいいソロだ。ロン・カーターのアルコがポール・チェンバースみたいなのが微笑ましい。
2の「シークレット・ラブ」ブルー・ミッチェルの「ブルース・ムーズ」を思い出してしまった。ウイントン・ケリーのソロがじつにいい味を出している。スリートの渋いソロも聞き物だ。
3おなじみのスタンダード。簡単なアレンジをジミー・ヒースがしていると思われるが、構成のしっかりした3人のソロがいい。
4ドン・スリートのオリジナル。このトラックのみジミー・ヒースが抜けたカルテット。かなりマイルス的な演奏だ。リズムセクションの2人は当時のマイルス・クインテットのメンバー。スリートのペットが素晴らしい。
5もジャズメンが好んで取り上げるバラード。ウイントン・ケリーの美しいイントロにのって奏でられるヒースとスリートのテーマがムード満点だ。ここでのスリートのリリシズム溢れるソロはすでに独自の世界を描き出している。
6はジミー・ヒースのオリジナル。口ずさめるようなファンキーなマイナー・ブルース。カーターの粘るベースが面 白い。
7最後もクリフォード・ジョーダンのオリジナル。かなりモーダルなプレイ。ただしハード・バップ的魅力も兼ね備えたプレイだ。
このアルバムの実質的なリーダーはたぶんジミー・ヒース。また過小評価されているヒースのテナーサックが存分に聴ける点でもこのアルバムの魅力だ。
ジャズ・シーンの檜舞台には立てなかったが、この1枚のアルバムで僕らの記憶に残ったドン・スリートをぜひ聴いて欲しい。
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