チェット・ベイカー、リバーサイド移籍第2作です。
ロスでパシフィック・ジャズに最後の吹き込みをした後チェットはニューヨークに移り住みます。そこでリバーサイドに吹き込みを始めます。その第2作が今回ご紹介する「CHET BAKER IN NEW YORK」です。
リバーサイドはチェットの売り出しに迷いがあったようです。第1作はチェット・ベイカー・シングスの再演ともいえるアルバムで、この第2作はジョニー・グリフィンの参加やマイルスのリズム隊の起用などパシフィック・ジャズ時代とは違ってハードなチェットというイメージで売り出そうとみられます。
しかし第3作以降は路線変更でパシフィック・ジャズ時代の耽美な雰囲気のアルバム作りになっています。パシフィック時代より須スイートな路線といっても過言ではありません。
しかしこの時期のチェット自身はかなり充実していたようで、どのような路線でも彼のトランペットは良く唄っています。このことは前回紹介した「CHET(OJC087)」でも伺えます。
この頃のチェットはイースト的なハードなプレイにその感心は移っていたものと思われます。その萌芽はパシフィック・ジャズ時代の「CHET BAKER & CREW」でボビー・ティモンズを起用したカルテットにみることができます。
次第にマイルスのオリジナル・クインテット的なプレイにこころ引かれていたのではないでしょうか。そのことはこのアルバムにマイルスの「SOLAR」が収録されていることからもわかります。
ただチェットも完全なイースト化は目指さなかったようです。「CHET BAKER & CREW」ではピアニストにボビー・ティモンズを起用して黒っぽさを導入したのに対して、このアルバムではピアニストにアル・ヘイグを起用して中和をはかったように見受けられます。
アル・ヘイグの起用もこのアルバムの成功の要因ではないでしょうか。バップのテディ・ウイルソンともいわれた彼の優雅なプレイがチェットのイマジネーションをかき立てているように思えます。
またポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズ二人の腰の据わったリズムも見逃せません。
さて相方のジョーニー・グリフィンですがこの当時リバーサイドで盛んに録音していた看板アーティストの一人です。一度聴けばすぐわかる独特のトーンと節回し、このアルバムでも彼の特徴が良く出ています。ジョニー・グリフィンは時としてオーバー・ブロウ気味になることがあるのですが、ここでは押さえたプレイです。この押さえたプレイのグリフィンの良さは僕が何度もレコメンドしていることでみなさんもお分かりだと思います。
50年代後半イーストの影響を受け次第にハードなプレイに活路を見いだしたチェット・ベイカーのリバーサイドにおけるもっともハードな1枚としてオススメします。
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