バップ・ピアノのエッセンスに溢れるバリー・ハリス・トリオの傑作ライブ。
同年代のピアニストと比べるとメジャーデビューの遅かったバリー・ハリス。バド・パウエル直系のバップ・ピアニストだ。現存するバップ・ピアノの最高であり、唯一無二の存在。黒人の伝統に根ざしビバップの精神を現代に伝える貴重な存在だ。
僕とバリー・ハリスとの最初の出逢いはザナドゥ盤「PLAYS TADD DAMERON」だった。バド・パウエルが良くわからなかった僕にとってバリー・ハリスのピアノは最高のバップ・ピアノ入門書だった。
彼はミュージシャンとしてだけではなく教育者としての面 も持つ知的なミュージシャンである。だからバド・パウエルのような天才的な閃きはないがプレイ上の破綻はない。知的にバップ・ピアノをプレイしている。それが反面 弱点となっているのも事実だ。
しかしどのように形容されようともバップ・ピアノ一筋、俺の生きる道はこれっきゃないという信念、そこから生み出される音楽は僕らの魂を揺さぶる。
このアルバムは丁度キャノンボール・アダレイ・コンボ在籍時代の吹き込み。場所もキャノンボール・アダレイ・コンボのホームグランド、クラブ「ジャズ・ワークショップ」たぶんキャノンボールがリバーサイドのオリン・キープニュースに推薦して録音されたのだろう。バリー・ハリス初期のバップ・ピアノのエッセンスに溢れた演奏だ。
ライブということもあって非常にリラックスしてスインギーな演奏だ。バリー・ハリスのオリジナルもバップ・テイストに溢れた曲。運指などほんとにバド・パウエルを彷彿とさせる。
6「LOLITA」7「MORNING COFFEE」などバップ風な曲調、しかもメロディックで僕は大好きだ。観客の「イエー」も良くわかる。
また彼はチャーリー・パーカーを敬愛していたようで4「STAR EYES」5「MOOSE THE MOOSHE」というパーカーゆかりの曲をプレイしている。リバーサイドにはバドに捧げた「CHASIN' THE BIRD」というアルバムも録音している。機会があったら聴いてください。
なお唯一のバラード「DON'T BLAME ME」はバップ的なアプローチでプレイされるバラードの典型ではなかろうか。素晴らしい。
最後もバップ・クラシックス、ディジー・ガレスピーのオリジナル「WOODY'N YOU」スインギーに乗ったプレイだ。
なおサム・ジョーンズの粘りのあるベースがこのアルバムを盛り上げている。オリジナル盤でこのベースの音を聴いてみたくなる。
そしてリズムの二人がハードバップ的なだけにバリー・ハリスのバップ・ピアノが際だっているのも見逃せない。
パウエル派の中で最も地味で人気のないバリー・ハリスだが、もっともバップの伝統に根ざしたピアニストだ。
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