ソニー・ロリンズがサキコロを吹き込む3ヶ月前のアルバム。クリフォード・ブラウンの快演も素晴らしい人気アルバム。
ロリンズは度々雲隠れをしてジャズ界から引退しているが、50年代前半は麻薬のため60年以降は演奏上の事だった。
そのロリンズが54年にケンタッキー州の麻薬更正施設へ入所後シカゴへ雲隠れして55年暮れ同地を訪れたブラウン=ローチ・クインテットの一員としてカムバック、その後名作「サキソフォン・コロッサス」に突き進む。このシカゴ引退期にマイルス・デイビスからのオファーをロリンズが断り、かわりにジョン・コルトレーンがマイルス・クインテットに参加したのは有名な話だ。なおロリンズは57年までマックス・ローチのグループに在籍する。
ロリンズとコルトレーンはかなりの親友だったらしいが共演アルバムは「PLUS 4」の2日後に吹き込まれた「TENOR MADNESS」の1枚というか1曲だけだ。互いに意識していたのも事実だろう。
ソニー・ロリンズが55年ブラウン=ローチ・クインテットに参加後のプレイはエマーシー盤と本アルバムだがエマーシー盤での演奏はイマイチぱっとしない。本音を言うとハロルド・ランドの方がグループ的にはまとまりがあるように聞こえる。前年に録音された「WORK TIME」でサキコロへの飛躍を思わせる素晴らしいプレイをしていたのに不思議である。油井正一さんは「クリフォード・ブラウンへの畏敬の念が彼のプレイを萎縮させたのでは」といっている。確かにブラウン=ローチのグループを離れて録音された一連のプレスティッジのセッションでは素晴らしいプレイだ。
この「PLUS 4」はエマーシー盤の1ヶ月後の録音。レーベルの関係でロリンズのリーダーアルバムになっているが実質はブラウン=ローチ・クインテットだ。
クリフォード・ブラウンのブリリアントなソロ、マックス・ローチの的確なドラミングなど聴き所の多いアルバムである。
肝心要のロリンズはどうかというと出だしの有名な「VALSE HOT」のソロを聴いてもらえばエマーシー盤よりかなり自信を取り戻したプレイに聞こえる。それでもサキコロなどの圧倒的な存在感はまだない。
印象的なテーマの後にロリンズのソロが先発。「WORK TIME」でみせた豪快なソロが戻っている。その後に出てくるクリフォード・ブラウンのソロが素晴らしい。真打ちの登場、その場をさらってしまう。自由なメロディラインでソロをとる。あのロリンズでさえ限界を感じてしまうのが無理がないほどだ。クインシー・ジョーンズがクリフォード・ブラウンのソロ・ラインで新たな曲を作ったという伝説も頷ける。
2〜4はレアなスタンダード。クリフォード・ブラウンの文字通 りブリリアントなソロが炸裂する。ロリンズも決めのフレーズを織り交ぜながらソロをとるがブラウニーの前ではかすんでしまう。なお4はロリンズのワンホーンだが中途半端な演奏。
5「PENT-UP HOUSE」は再びロリンズのオリジナル。ロリンズのソロも1曲目とこのオリジナルでのプレイが素晴らしい。不思議だ。クリフォード・ブラウンのハスキーなトーンでのユーモラスなフレーズ、その後を引き継ぐロリンズもブラウニーに触発されてくつろいだソロをとる。
なおこのグループのピアニストはバド・パウエルの実弟、クリフォード・ブラウンと共にこの録音の3ヶ月後の6月26日に自動車事故で亡くなった。
ブラウン=ローチ・クインテットの最後のプレイが聴ける名盤だ。
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