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アート・テイタム、ベン・ウエブスター、スイングの巨人達による心温まる名演
アート・テイタム(p)1910年10月13日オハイオ州トレド生まれ。
ジャズ・ピアノのヴァーチュオーゾ。生まれつき弱視で片目は失明状態。13才でピアノに転向、トレドのラジオ局でプロ入り。32年ニューヨーク進出。38年ロンドンで公演。40年代中期よりスラム・スチュアート、タイニー・グライムスのトリオで人気を博す。40年代を通 して人気投票のベスト3の常連。1956年11月5日ロスで死去。
ジャズ・ピアノのヴァーチュオーゾ。かのホロヴィッツもアート・テイタムのピアノを絶賛したほどである。菊池雅章もその昔スイング・ジャーナルのアンケートか何かでアート・テイタムを一番好きなピアニストに推していた。しかしテクニシャンという評判が先行した故かまたソロピアノが多かったためか「すごいんだけどねえ〜」で終わってしまっている。僕もどちらかというと敬して遠ざけてしまっているミュージシャンの一人です。
モダンジャズのテクニシャンといえばまずオスカー・ピーターソン、フィニアス・ニューボーンなどが挙げられる。アート・テイタムはもちろんスイング時代のピアニストであるからリズムのノリはあくまで4ビート、しかしオスカー達に比べるとピアニスティックな音の響かせ方やものすごいフレージングをさりげなく弾いている点など彼らを上回る。また実にエレガントなのだ。だから本来はソロ・ピアノで聴くべき人なのだろう。
だけどモダン・ファンとしてはどうしてもベース・ドラムとのトリオを好む。70年代に一時モダンピアニストのソロ・ピアノがブームになったことはあったがそれもすぐに終わった。やはりドライブするスイング感が欲しいのだ。ファンとは贅沢です。
アート・テイタムにドライブ感やスイング感が無いと言ってるわけではないがソロピアノにはどうしても限界がある。猛烈なスピード感や素晴らしいフレージングなどほんとにすごいと思う。だけどずっと聴いているとちょっとね、です。
だから僕はアート・テイタム入門はヴァーヴ時代のアルバムを 推薦します。いまはパブロに移籍していますが。
というわけで今回紹介するのは当時のレギュラートリオにゲストでベン・ウエブスターが加わったカルテットです。ヴァーヴでは「ART TATUM-BEN WEBSTER QUARTET」というタイトルでリリースされました。
このアルバムを買ったのは高校生の時、実はこういった一聴甘い演奏は高校生の僕にピンと来なかった。まあ当たり前ですね、やっぱ10年早かったです。
今この演奏を聴くとなんと素晴らしいアルバムかと思います。全ジャズアルバムの中でもトップにランクされる素晴らしい演奏だと確信しています。
演奏される曲目はすべて人口に膾炙したスタンダード、それもスロー・バラードです。アート・テイタムも幾分控えめに弾いています。それでもソロやベン・ウエブスターのバックに付けるオブリガートなど実にエレガントです。
ベン・ウエブスターはスイング時代から活躍するホーキンス派のテナー奏者です。豪快なプレイが信条のプレーヤです。50年代に入りスローバラードに新境地を見いだし以前にもました活躍をします。このアルバムではアート・テイタムと組んで彼のバラード・プレイの極致のプレイが聴かれます。
独特のビブラートを使ったその奏法は赤ん坊を抱くようなと形容されました。ここでもホントに包み込むような暖かいプレイです。そして実にセクシーです。
演奏はどれも有名なスタンダードですが特に「MY ONE AND ONLY LOVE」での両者のコラボレーションは素晴らしいです。僕はこのアルバムのベスト・トラックだと思ってます。
ハード・バップ全盛時代に残されたスイング時代の巨匠たちによるバラードプレイの極致を存分にお楽しみ下さい。
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